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【子育て】人に頼ってもマイナスは一つもない!|フリーランスインタビュー

【子育て】人に頼ってもマイナスは一つもない!|フリーランスインタビュー

子育て中だからって、自分のことを後回しにしていませんか?

自分の気持ちを大切にできないと、人に矢印を向けてしまいがちです。

ただ、気持ちに向き合う作業は1人だと怖くなったり、誰かに頼るのも難しかったりします。

 

そこで今回は、ママフリーランスのいくみんさんに、1人で子育てに悩む人の心がちょっと軽くなる話をお聞きします。

いくみんさんは、15年間小学校の先生をして、700人以上の保護者や子どもたちと向き合ってきました。

 

その経験から、「子育てを一人で頑張らない仕組みを作りたい」と強く思い、フリーランスに転身します。1人で悩むママや頼れなくて辛い人は、ぜひこの記事を読んでみてください。

 

<プロフィール>

いくみんいくみん / いぬ年生まれで、2児のママ。15年の教師生活を経て、フリーランスに転身。

主な仕事内容は、一人で悩む個人事業主さんの子育て優先でのサポート業務・システム思考*を軸にした教材開発・講師業(その他、書道の作品作りや、資料・Webサイト作成などクリエイターチームとしての活動も)

ママたちのグループコーチングのファシリテーターとしても活動中。学校臨床心理の学びを深め、子どもと子どもに関わる大人へのメンタルケアを学んでいる。

子どもを育てる社会の仕組み作りやシステム思考居場所作りなどに興味あり。

*システム思考...システム思考理論とは、MIT(マサチューセッツ工科大学) スローン経営大学院のジェイ・フォレスター教授 (Prof. Jay Forrester) と、システムダイナミクスグループが1956年に作り上げたとされている理論。さまざまなつながりで作られるシステムの全体像とその作用を意識し、複雑性を理解する能力。(わかりやすい参考サイト:Change Agent,システム思考,2022年8月7日))

 

フリーランスになるまで|子どもと向き合うには自分から

フリーランスになるまで|子どもと向き合うには自分から

 

いくみんさんが、先生を目指そうと思った理由から、お聞きしたいです。

いくみんさん(以下、いくみん):小学校の時の先生が、きっかけでした。その先生は、荒れていたクラスを「君たちはエネルギーがあって、本当に素晴らしい。」と肯定してくれたんです。そこから、驚くほどクラスが前向きに変わっていって。

 

誰か1人でも認めてくれたら、人は変わろうとするんだと学びました。その時、先生みたいなカッコいい大人になりたい、と思いましたね。

 

素敵な先生ですね!実際に、自分が先生になってどうでしたか?

 

いくみん:初任のクラスは、持ち手がつかない指導困難クラスでした。会った瞬間、あいさつ代わりに「クソババア」と言われましたね22歳だったのに(笑)

 

そこで、まずは「教室を居心地の良い場所にしよう」と思いました。教室から出ていきたくなったり、授業中に話したくなったりする理由が、彼らにはあるんです。それを受け止めて信頼関係を築くことが大切だと思って。

 

頭ごなしに否定されても、受け入れにくいですよね。

いくみん:15年間先生をやってきましたが、変えようとして変わった子どもは、1人もいません(笑)それぞれに必要な環境を整えることで、変化していくと感じました。だから、その人が望む姿になれるように環境を整えることが、大事だと思います。大人もそうですよね。

 

あと、自立って1人で何でもできるようになることだと思われるけど、そうじゃない。人に頼れることこそ、自立だと思っています。

 

そういった先生としての経験も、現在のフリーランスの活動に結びついていそうですね。

 

いくみん:そうですね。教師経験や自分の子育てを通して、人を育てるって1人じゃ難しい!って思いました。子育てには、余裕が必要です。自分の気持ちに向き合う余裕がないと、子どもに対しても余裕が持てない。私もそうでした。

 

だから、大好きな先生の仕事を辞めて、環境を変えたんです。「仕事」に合わせる生活ではなく、子育てを優先して仕事をしたかったから。その決断が出来たのも、たくさんの人に話を聞いてもらい、助けてもらったおかげです。

 

その経験から、フリーランスになった今「自分で環境を作っていく」「自分で環境を選んでいく」そんなお手伝いがしたいと、より強く思っています。

 

初めての子育て|ママだから1人で頑張らなくっちゃと思っていた

初めての子育て|ママだから1人で頑張らなくっちゃと思っていた

初めての子育ては、どうでしたか?

いくみん:いざ自分の子育てとなると、人間を育てるって本当に大変って思いました(笑)子どもの命を背負って、全部1人でやらなきゃと思い込んでいました、ママだから、頑張らなくちゃって(笑)自分の気持ちを大切にすることの重要さを、先生として学んでいたはずなのに。

 

子どもに対してイライラしちゃいけないと思っているお母さん、多いように思います。

 

いくみん:私も、良いママはずっとニコニコしているものだと思ってましたね。でも、イライラの出し方は良い悪いがあるけど、自分の感じていることは大切にしなくちゃいけないと思います。

 

つい、「こうあるべきだ」って思っちゃうけど、それってすごく辛いですよね。いくみんさんは、その辛さをどうやって突破したんですか?

 

いくみん:無理だ、このままじゃ笑ってられない!と、思いました。イライラを抑えるほど、自分が何にワクワクするとかも、わからなくなっちゃって。2人目の出産・育児はコロナ禍だったこともあり、なかなか人にも会えず、夫にやっと頼るようになりました。

ずっと「言わなくてもわかるだろう」とか、「忙しいから、こんなことを言ったら迷惑かも」とか考えていたんです。でも、それって全部思い込みで。

 

自分の気持ちを大切にした結果、頼ることができたんですね。

 

いくみん:そうですね。あと、状況によって優先順位は変わるから、それをちゃんと共有していくことが、大切だと思います。でも、いきなり頼るのは難しいですよね。

 

頼れない時って、「こんなことで、甘える自分はダメだ」って、自分にストッパーをかけているかもしれませんね。

 

いくみん:イライラしたり、うまくいかなかったりするのは、一生懸命やっているからだと思います。そんな自分を、絶対に責めないでほしい。

 

頼ってマイナスなことは、ひとつもなかった。もし、頼るのが難しいなら、人に話すことから始めると良いかもしれません。私も初めは難しかったけど、家の中でも外でも、とにかく話すことから始めました。そうやって、最近やっといろんな人に頼れるようになりました(笑)

ママたちへのグループコーチング|自分を主語に話す時間を作る

ママたちへのグループコーチング|自分を主語に話す時間を作る

いくみんさんの、ママたちへのグループコーチングって、具体的に何をされているんですか?

 

いくみん:グループコーチングでは、ママたちが自分について話す時間を作っています。今は、子どもたちが寝た金曜の夜に行っていて...朝5時からやっていたこともありました。朝、弱小なので今はやっていないですが(笑)秘密の夜会ですね(笑)

 

夜会(笑)夜会では、具体的にどんなことを話すんですか?

 

いくみん:1週間の中で、自分の心が動いた出来事を、取りとめなく話しています。ママたちは忙しいから、振り返る時間を持たないと、いつの間にか時間が過ぎていっちゃうので。

 

そういう時間は、誰にとっても大切ですよね...。自分の気持ちに1人で向き合うのは難しいから、人の力を借りられるとありがたいです。

 

 

いくみん:だから、グループコーチングでは、人に頼る環境を整えるようにしています。話しやすいように、「ここは否定されない、話して良い場所」という共通認識を作っていますね。

 

素敵な場所ですね。やってみて、どんな変化がありましたか?

 

いくみん:参加メンバーの変化がすごくて、毎回びっくりします。日々のささいな気持ちの変化から、大切なことに気づいたり、優先順位が明確になって行動が変わったり。

 

自分が何を望み、どう感じて何をしたいのか、誰かと話すことはとてもパワフルです。誰かの力を借りて自分のやりたいことをやることで、少しずつ変わっていけると思います。

 

やりたいことって、余裕がないと見えてこないですよね。人の力を借りることで、自分の本当の気持ちに気づけるんですね。

 

いくみん:子どもに腹が立ったことを振り返って、自分の本当の気持ちが見えてくることもありますね。大切にしたい価値観が守られていない時に、人は怒るから。もし、子どもが自分勝手にしていてイライラするなら、本当は自分がそうしたかったり、大事にしたいことが大事にされていない感覚があったりするのかも。

 

たしかに...!イライラって出したくない感情だけど、そういう気持ちを肯定してくれる場所があると、向き合えるしすごく楽になれそうですね。

 

いくみん:1人の時間も必要だけど、人に頼る居場所も同じくらい必要だと思っていて...。活動を通して、「望んでいるのに頼れない」をなくしたいと思っています。

 

1人で悩んでいるママへ伝えたいこと

1人で悩んでいるママへ伝えたいこと

頼れなくて1人で子育ての悩みを抱えている人たちへ、伝えたいことはありますか?

いくみん:何故頼れないのか、まずは考えることが大切だと思っています。もし、頼ることが否定されるような環境なら、環境が合わないんです。

 

辛い環境に、合わせようとしないでほしい。自分が悪いのではなく、置かれた環境や、その人と合わなかった、それだけです。いろんな人がいていいんです。

 

存在価値が否定されていい人はいないから、自分を大切にすれば良いんですね。

いくみん:そうです。誰かに否定されても、自分の声を大事に聞いて、「この人、嫌だなぁ」と思えば、離れればいいんです。離れるのが難しいなら、自分の気持ちを共有できそうな人を見つけて。

 

こう思ったきっかけは、子どもたちでした。「あっち行け」っていう子どもって、誰よりも話を聞いて欲しかったりするんです。

でも一度、自分の存在を否定されると怖くなって、人を拒否するのが当たり前になってしまう。そんな時に1人でも、きちんと話を聞いてくれたら、人は変われるんです。

 

人に否定されると、真面目な人ほどできない自分を責めちゃいますよね。

 

いくみん:「できない自分がダメ」とか、「上手く育てられない私がダメ」とか思っちゃいますよね。

でも、その人が困っていることを周りの人が助けてくれたら、同じことが起こっても結果は違う。

そのままでいいんです。自分を否定しないで、人に話すことから始められたらと思います。

 

インタビューを終えて|1人で子育てに悩む人はまず自分を大切にしよう

インタビューを終えて|1人で子育てに悩む人はまず自分を大切にしよう

初めて、いくみんさんのお話を聞いた時「1人で辛い子どもと、子どもに関わる人たちの心を楽にしたい」と話されていたのが、心に残っています。

そして、このお話は子育てをしている人以外にも、頼るのが苦手な私のような人にとって、光になると思いました。

 

石の上にも3年なんて言いますが、石の上はやっぱり辛いです。

心の声を受けとめて人に頼れたら、低反発クッションだって用意してくれるかもしれません。

 

ただ、人に頼るのは勇気がいるものです。

そんな時は、いくみんさんと話してみませんか?少なくとも私は、こんな考え方の人がいるんだと救われました。1人で環境を変えるのが難しいなら、いくみんさんのような人と一緒に、新しい環境を作りましょう。

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